LIFE STYLE
HISATSUGU TAKEGUCHI

職人竹口久嗣は自らを和ティシエと呼ぶ。

『僕の作る菓子は和菓子でもないし、洋菓子でもない』『ただ、僕が美味しいと思う菓子を作っている』と語る。

僕は創業1716年(享保元年)、300年の歴史を持つ和菓子屋の家に生まれた。

22歳の時に東京の製菓学校に通い、和菓子職人としての経歴をスタートさせた。

和菓子職人としては少し遅いスタートだったかもしれない。ただ来る日も来る日も自分の菓子を作り続け、16代目を襲名した。

けれど和菓子の世界はただ決まった通りに和菓子を作るだけで始めはどこか物足りなさを感じていた。 もちろん、伝統というのは大事だし、その家にはその家の味があります。

しかし、多くの和菓子屋は新しい味を生み出すでもなく、ただ、その味に胡坐をかいている様に写りました。本当はもっと新しい味や和菓子があってもいいんじゃないか、そう思いながら、日々自分の味を研究してきました。

時に色んな和菓子を食べ歩いたり、流行りのパティシエの店を回ったりと。その中で、思ったのはもっと自由に和菓子でもなく、洋菓子でもなく、ただ美味しいと思うものを作ればいいんじゃないかと思ったんです。

なので、ちょっと恥ずかしいですが、自分で和ティシエと名乗ることにきめたんです。

どこどこの菓子を食べるならどこどこのお茶と。大切なお客様が来た時に。なんていうのは全くいらないと思います。女子会のお土産でもいいし、お客様にお出しして頂いてもいいし、お茶どころか、コーヒーでも紅茶でもいいし、とにかく肩肘張らずに、『美味しい』『わぁ、きれい』なんて思ってもらえればいいなと思って作っています。

僕の中でこんな時に、こんな気持ちで食べてもらえたら嬉しいなというのはあります。ですが、もっと自由に食べてもらえれば嬉しいです。

そして、今後は家庭でも気軽に和菓子や和スウィーツを作ってもらいたいと思い、専門学校での指導経験を活かして和菓子に触れ合う機会を作っていきたいと思います。

TVチャンピオン2回出場
その他
TV・雑誌・新聞・ラジオなど
数多くのメディア経験あり。


日本の伝統・文化・歴史である和菓子。

世界中どこを探しても、春夏秋冬を表現するお菓子はどこにも無い。
だからこそ、和菓子ってすばらしいと思う。

しかし、和菓子と洋菓子を比べるとどうだろうか?

消費者が、求めているのは洋菓子のが多いように感じる。けど、自分は和菓子職人だから、和菓子をもっともっと発信していかなければならないと感じている。

昔から思うことは、どこの洋菓子屋にはシュークリームやショートケーキはある。
しかし、お客さんは「○○店のシュークリーム、ショートケーキは美味しいよね。」と、必ずって言うほど屋号が先に出てくる。

和菓子屋はどうだろうか?

どこの和菓子屋にも、お饅頭や餅はある。それに、和菓子屋にも屋号はある。
けど、お客さんは「○○饅頭って美味しいよね。
あそこの和菓子屋美味しいよね。」と、屋号よりも商品が先に出てくる。
もし仮に、まずいお饅頭を食べた時に「まずい=和菓子はまずい」って思われがちだと思う。

なぜだろうとすごく不思議に思う。

洋菓子屋は、オーナーパティシエがブランドになって自分の店の発信をしている。
しかし、和菓子屋は発信の仕方が下手だと思う。完全に待ちの商売のやり方のままだ。
それでは、衰退する一方で良くはならない。

それに現状では、後継者問題や職人不足の問題もある。
自分が専門学校に入った時でも、洋菓子科は約500人程度で和菓子科は30人とこんなにも人数が違う。

昔からのイメージの違いもあるとは思うが、もっと和菓子のイメージを変えなければならない。

それに、今後和菓子職人になりたいと思う子達の為にも、新しい取り組みをして少しでも業界を盛り上げたい。

そして、和菓子の可能性をもっともっと知ってもらいたい。

日本そして世界へと発信していきたい。